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日別アーカイブ: 2025年4月21日

ケイ・オーのよもやま話~part12~

皆さんこんにちは!
有限会社ケイ・オー工業の更新担当の中西です!

 

さて今回のよもやま話は

育成

ということで、今回は、左官工事業における人材育成と人手不足の背景と課題、そして未来への処方箋を、現場のリアルな視点から深く掘り下げてお届けします。

 

壁や床、天井など、建物の仕上げに欠かせない左官工事。
その仕事は、緻密な手仕事と熟練の技術に支えられています。

しかし今、業界では人手不足と技術継承の危機が深刻な問題となっています。

「若い人が入ってこない」
「教える時間も余裕もない」
「このままでは伝統技術が消えてしまう」


左官工事業が直面する“人手不足”の現状とは?


 職人の高齢化と若手の減少

  • 左官職人の平均年齢は50歳を超え、60代でも現役が多数

  • 20代の職人はごくわずかで、新規入職者が極端に少ない

10年後には技術者の半数以上が引退すると言われており、“技術空洞化”の危機が迫っています。


❷ 3K(きつい・汚い・危険)職種のイメージ

  • 手作業中心、天候の影響を受けやすい屋外作業

  • 長時間労働・体力仕事というイメージが強く、若者が敬遠しがち

「安くてキツい」「職人になっても将来が見えない」という先入観を持たれることが課題です。


❸ 技術が“見えにくい・評価されにくい”

  • 技能の良し悪しが分かりにくく、正当に評価されにくい風土

  • 昇給・昇格の明確な基準がない

  • 見て覚える“背中の教育”が主流で、若手がついていけない

 “感覚”だけに頼る教育では、人が育たない時代に入っています。


なぜ人が育たないのか?育成のボトルネックとは?


教える側に“教え方”のノウハウがない

  • ベテラン職人は技術が高くても「教えるのが苦手」な人が多い

  • 技能の“言語化”や“分解”ができないと、新人は理解できない

技術=暗黙知。それを形式知(言葉・動画・図解)にする努力が必要です。


新人に合った教育ステップが存在しない

  • 「最初からコテ持って塗れ」「現場で覚えろ」

  • 一人ひとりの理解度・適性に応じたステップ教育がない

成長が見えるカリキュラムがなければ、やる気も定着率も上がりません。


労働条件・将来性に魅力がないと感じられている

  • 社会保険未整備、日給月給、昇給不明確

  • 将来のキャリアパス(職長・親方・独立)への道筋が見えない

「一生続けられる仕事」と思える環境づくりが急務です。


人材育成でやるべき“5つのこと”


① 技術の“見える化”とスキルマップの導入

レベル スキル内容
Lv.1 材料名・道具の使い方を覚える
Lv.2 下地処理・養生ができる
Lv.3 小面積の左官仕上げができる
Lv.4 模様出し・複雑な仕上げも対応可能
Lv.5 現場管理・後輩指導ができる

成長の“見える化”があれば、やる気と評価が連動しやすくなります。


② 動画・写真・図解を活用した教材づくり

  • コテさばき・塗り方・養生の方法を動画やイラストで解説

  • 現場でスマホでも見られる“マニュアル”の整備

  • 作業工程ごとの「チェックリスト化」

若手には“感覚”より“視覚”。情報をデジタルで伝える時代です。


③ 若手を育てる「人」を育てる

  • 指導方法、伝え方、やる気を引き出すコツを学ぶ研修

  • 「怒る」のではなく「導く」スタンスが重要

  • 教育担当者に評価・手当・育成の責任感を与える

教えられる職人は、企業の未来をつくる職人です。


④ 女性・外国人も活躍できる現場づくり

  • 女性職人向けの軽量化道具・更衣スペース整備

  • 外国人技能実習生・特定技能者への母国語マニュアル・文化理解

多様な人材が安心して働ける環境整備が、人材確保のカギになります。


⑤ 将来が描けるキャリアパス制度の整備

  • 例:入社→職人見習い→中堅→職長→独立支援 or 管理職へ

  • 給与・資格・役職が明確な評価制度と連動

  • 各段階で必要な資格取得支援(左官技能士1・2級など)

将来の「見える化」は、若者にとって最強の安心材料です。


左官の仕事は“アナログの芸術”であり“建築の命”


左官は、機械化が難しい“手仕事の世界”。
コテ一つで仕上がりが変わる、技術と感性の職人技です。

だからこそ、この伝統と技術を「消えゆく技」ではなく、「誇れる技」に変える」ために、私たちが今すべきことがあります。

  • 現代に合った“育て方”をつくる

  • 働きやすい現場を整える

  • 左官の魅力を次世代に伝える

これらを現実的に積み重ねていけば、左官の未来は確実に明るくなると、私たちは信じています。


育てることは、業界全体の“未来への投資”


左官業は、職人技を受け継ぐ「技術産業」であり、同時に「人間産業」でもあります。
その未来を守るためには、“育てる文化”を現場に根づかせることが必要です。

スキルの見える化
教える力の育成
若手が安心して働ける環境
キャリアの道筋と収入の安定

これらを本気で取り組む企業こそが、
人材に選ばれ、時代に必要とされる左官業者へと進化していけるのです。

 

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