
皆さんこんにちは!
有限会社ケイ・オー工業の更新担当の中西です!
さて今回のよもやま話は
ということで、今回は、左官工事業における人材育成と人手不足の背景と課題、そして未来への処方箋を、現場のリアルな視点から深く掘り下げてお届けします。
壁や床、天井など、建物の仕上げに欠かせない左官工事。
その仕事は、緻密な手仕事と熟練の技術に支えられています。
しかし今、業界では人手不足と技術継承の危機が深刻な問題となっています。
「若い人が入ってこない」
「教える時間も余裕もない」
「このままでは伝統技術が消えてしまう」
左官職人の平均年齢は50歳を超え、60代でも現役が多数
20代の職人はごくわずかで、新規入職者が極端に少ない
10年後には技術者の半数以上が引退すると言われており、“技術空洞化”の危機が迫っています。
手作業中心、天候の影響を受けやすい屋外作業
長時間労働・体力仕事というイメージが強く、若者が敬遠しがち
「安くてキツい」「職人になっても将来が見えない」という先入観を持たれることが課題です。
技能の良し悪しが分かりにくく、正当に評価されにくい風土
昇給・昇格の明確な基準がない
見て覚える“背中の教育”が主流で、若手がついていけない
“感覚”だけに頼る教育では、人が育たない時代に入っています。
ベテラン職人は技術が高くても「教えるのが苦手」な人が多い
技能の“言語化”や“分解”ができないと、新人は理解できない
技術=暗黙知。それを形式知(言葉・動画・図解)にする努力が必要です。
「最初からコテ持って塗れ」「現場で覚えろ」
一人ひとりの理解度・適性に応じたステップ教育がない
成長が見えるカリキュラムがなければ、やる気も定着率も上がりません。
社会保険未整備、日給月給、昇給不明確
将来のキャリアパス(職長・親方・独立)への道筋が見えない
「一生続けられる仕事」と思える環境づくりが急務です。
レベル | スキル内容 |
---|---|
Lv.1 | 材料名・道具の使い方を覚える |
Lv.2 | 下地処理・養生ができる |
Lv.3 | 小面積の左官仕上げができる |
Lv.4 | 模様出し・複雑な仕上げも対応可能 |
Lv.5 | 現場管理・後輩指導ができる |
成長の“見える化”があれば、やる気と評価が連動しやすくなります。
コテさばき・塗り方・養生の方法を動画やイラストで解説
現場でスマホでも見られる“マニュアル”の整備
作業工程ごとの「チェックリスト化」
若手には“感覚”より“視覚”。情報をデジタルで伝える時代です。
指導方法、伝え方、やる気を引き出すコツを学ぶ研修
「怒る」のではなく「導く」スタンスが重要
教育担当者に評価・手当・育成の責任感を与える
教えられる職人は、企業の未来をつくる職人です。
女性職人向けの軽量化道具・更衣スペース整備
外国人技能実習生・特定技能者への母国語マニュアル・文化理解
多様な人材が安心して働ける環境整備が、人材確保のカギになります。
例:入社→職人見習い→中堅→職長→独立支援 or 管理職へ
給与・資格・役職が明確な評価制度と連動
各段階で必要な資格取得支援(左官技能士1・2級など)
将来の「見える化」は、若者にとって最強の安心材料です。
左官は、機械化が難しい“手仕事の世界”。
コテ一つで仕上がりが変わる、技術と感性の職人技です。
だからこそ、この伝統と技術を「消えゆく技」ではなく、「誇れる技」に変える」ために、私たちが今すべきことがあります。
現代に合った“育て方”をつくる
働きやすい現場を整える
左官の魅力を次世代に伝える
これらを現実的に積み重ねていけば、左官の未来は確実に明るくなると、私たちは信じています。
左官業は、職人技を受け継ぐ「技術産業」であり、同時に「人間産業」でもあります。
その未来を守るためには、“育てる文化”を現場に根づかせることが必要です。
スキルの見える化
教える力の育成
若手が安心して働ける環境
キャリアの道筋と収入の安定
これらを本気で取り組む企業こそが、
人材に選ばれ、時代に必要とされる左官業者へと進化していけるのです。
皆さんこんにちは!
有限会社ケイ・オー工業の更新担当の中西です!
さて今回のよもやま話は
ということで、左官工事における施工前の事前確認事項を10の視点から深く掘り下げて解説!
これを押さえることで、ムダな手直し・クレーム・工程の遅れを未然に防ぐことができます。
左官工事は、「下地づくり」と「仕上げ」の両面を担う重要な工種です。
しかし、その美観と品質を保つためには、実は施工前の準備=“事前確認”がすべてを左右すると言っても過言ではありません。
左官は、仕上げの最終段階に位置する工種の一つ。
「最終だからこそ、全ての不備が表に出る」業種でもあります。
下地の不陸(でこぼこ)
モルタルの乾燥ムラ
他業種との工程干渉
材料・仕上げの仕様違い
など、多くのトラブルが“準備不足”から生まれています。
左官工事の成功は、「事前の情報共有と確認」にかかっているのです。
仕上げ種別(モルタル・漆喰・ジョリパット・珪藻土など)
模様・パターン・色番号・コテ押さえの種類(平滑・刷毛引きなど)
メーカー指定材料/配合比率の遵守
塗厚、乾燥時間、施工回数の指示
設計図・仕上げ表・仕様書・サンプルとの照合が絶対条件です。
モルタル下地、ALCパネル、石膏ボード、ラス下地などの材質と施工精度
不陸(でこぼこ)や欠損、ひび割れ、浮き、油分の有無
接着不良が懸念される箇所へのプライマー処理指示
左官は「下地が9割」とも言われます。下地確認なしに美しい仕上げはあり得ません。
外壁・水回り・バルコニーなど防水層との境界部の納まり
シーリング材の打設タイミング(先打ち or 後打ち)
水切り、見切り材との重ね順・立ち上がり寸法の確認
「雨が入る左官」は構造的な欠陥につながります。防水との連携は重要です。
配管・コンセント・サッシなどの取り合い位置
スリーブやボックス周りの補修方法
建具枠と左官の取り合い寸法、クリアランスの確認
左官の仕上げ厚を見込んでいないと、建具が納まらない/段差が出るなどの不具合が発生します。
出隅・入隅の角処理:メタルコーナー・コーナービートなどの使用有無
見切り材・役物(アルミ見切り、樹脂ジョイント)の位置確認
縦横の区切り方や目地の有無と位置
角の仕上がりは左官の“腕前”の見せどころでもあり、クレームになりやすい部分でもあります。
気温が5℃以下または35℃以上の場合の施工制限
直射日光・強風・湿度などの施工影響の確認
夏場の急乾燥/冬場の凍結対策(保湿養生、凍結防止剤使用)
天候によって仕上がり・ひび割れ・変色リスクが大きく変動します。慎重な判断が必要です。
サッシ、床、外構、設備器具などの養生範囲の明示と材質選定
クロス工事、塗装、建具、電気工事との工程調整
乾燥時間中の他職方の立入り制限
養生不足や工程干渉は仕上げ汚れ・欠損・再施工の大きな原因になります。
セメント・砂・添加剤・仕上材の搬入ルートと保管場所
練り場の確保、水源の有無、電源使用可否
粉塵飛散・騒音への近隣配慮
作業環境の事前確認は、効率と安全と信頼を同時に守る基本です。
模様・色・パターンの実物サンプル施工を実施
元請け・設計・施主による立会確認で承認を得る
「思っていた色と違う」「模様がイメージと違う」といったトラブル回避に有効
サンプルの提出は左官工事における“品質の契約”とも言えます。
足場の設置状況(天端高さ、作業スペース、転落防止)
外壁用足場の手摺・ネット・幅木の安全性
材料運搬・作業動線の確保と危険予知(KY)
左官作業は高所や長時間作業も多いため、安全確認と事前指差呼称が欠かせません。
左官職人の技術力がいくら高くても、
下地が悪い、材料が間違っている、気象条件が合っていない──そんな状況では最高の仕上げは絶対にできません。
つまり、左官工事は「腕」だけでなく、「段取り」「確認」「情報共有」で決まるのです。
設計図を読む
他職方と調整する
現場状況を先読みする
この積み重ねが、クレームゼロ・再施工ゼロの左官工事につながります。
左官は「仕上げの華」と言われる一方、
その実態は「土台を読み、工程を見通し、人と連携する」職人の技術と段取りの結晶です。
材料の正確な理解
下地の徹底的な確認
他業種との協力体制
これらを確認し、記録し、共有してこそ、“美しく・丈夫で・長持ちする”左官仕上げが可能になるのです。