
皆さんこんにちは!
有限会社ケイ・オー工業、更新担当の中西です!
今回は、左官工事の「これから」について、さまざまな視点から展望していきます。
“伝統は守るもの”と思われがちですが、左官の世界では**「進化する伝統」**が始まっています。職人技とテクノロジーが出会うことで、左官の可能性は大きく広がっているのです!
左官工事の課題として、最も大きいのが職人不足・高齢化問題。
熟練の技術を継承するには時間と努力が必要ですが、若手の入職がなかなか増えないのが現状です。
そんな中、近年では:
SNSやYouTubeでの左官動画の発信
若手職人による実演イベント
職業訓練校での積極的なPR
などにより、「かっこいい職人像」や「伝統の再発見」が進んでいます。
未来の左官を担う若い力が、確実に育ちつつあるのです。
伝統的な漆喰や土に加えて、最近では現代の建築に合った新しい左官材料も登場しています。
高機能漆喰(抗ウイルス・消臭効果付き)
超軽量モルタル(高層ビル対応)
撥水性のある珪藻土仕上げ
こうした機能性素材との融合により、左官は「古いけど新しい」存在として再評価されているのです。
また、コテで描くアート表現や左官デザイン壁のインテリア活用など、芸術性も高まり、住宅・商業施設・ホテルなどでも採用が増えています。
「職人の世界にロボットは必要ない」そう思われがちですが、実はAI・ロボットの技術を取り入れた実験も進んでいます。
AIによるコテの動きの記録と学習
ロボットによる下塗りの自動化
現場3Dスキャンと施工補助アプリ
左官の“仕上げ”はまだまだ人の感性と技術に依存しますが、下地処理や作業補助の領域ではテクノロジーが大いに役立つ可能性があります。
職人が“作品づくり”に集中できる未来が、そこまで来ています。
脱炭素社会の実現に向けて、建築でも「サステナブル素材」が注目されています。
その中で、左官材料は次のような点で評価を受けています。
国産素材の活用(ローカル資源)
低エネルギー施工(機械不要)
リサイクル性と長寿命性
こうした“建物の環境性能を底上げする壁”として、左官があらためて選ばれているのです。
将来的には「左官仕上げ=高性能エコ住宅の標準仕様」になる日も近いかもしれません。
日本の左官技術は、今、海外からも注目されています。
京都の町屋に学んだ「ジャパニーズ・プラスター」
海外の高級ホテルで採用される漆喰壁
日本人職人の海外研修・招聘の増加
こうした流れにより、伝統的な左官技術が“世界品質の壁”としてグローバルに通用する時代が到来しつつあります。
左官は、古くて新しい技術。
未来の建築に必要とされる“環境性能・美しさ・手仕事の温かみ”を兼ね備えた、貴重な工法です。
人の手だからこそできる仕事、自然と共生できる技術、そして進化を止めない誇り。
左官の未来は、想像以上に明るく、可能性に満ちています。
次回もお楽しみに!
皆さんこんにちは!
有限会社ケイ・オー工業、更新担当の中西です!
今回は、古くから日本の建築に欠かせない「左官工事」と「環境問題」の関係についてお話しします。
一見、環境と左官工事は無関係のように思えるかもしれません。しかし実は、左官の仕事は昔から**“地球にやさしい建築”の代表格**。今こそその価値が見直されているんです!
左官工事とは、壁や床、天井などにモルタルや漆喰、土壁、珪藻土などの塗り材を塗って仕上げる技術。その多くは、古来より自然由来の素材で構成されています。
例えば、
漆喰 → 石灰石から作られる天然素材。CO₂を吸収して固まる特性あり。
土壁 → 乾いた土、水、ワラなどを混ぜた伝統工法。通気性・調湿性に優れる。
珪藻土 → 海藻の化石由来で、吸放湿性能が高く、断熱にも効果的。
これらの素材は有害物質を含まず、廃棄時にも環境負荷が極めて小さいため、今の時代にこそふさわしい“エコ建材”なんです。
左官仕上げの壁には、単なるデザイン以上の機能があります。
それが、「調湿作用」「脱臭作用」「断熱性」。
例えば、漆喰や珪藻土は湿気を吸ったり吐いたりして、部屋の湿度を一定に保つことができます。さらにカビの発生を抑えたり、空気中の臭いを吸着する効果もあり、住宅の室内環境を清潔で快適に保つ力を持っています。
つまり、左官は“壁で空気を整える”技術でもあるのです。
左官に使われる土や石灰は、役目を終えたあとも自然に還りやすい素材です。
例えば、
土壁を解体後、また練り直して使う
漆喰壁の粉末を畑の肥料に使う
廃材の少ない現場施工によるごみ削減
といった**「使い捨てない」素材文化**が、左官には根付いています。
大量生産・大量廃棄の時代を超え、循環型社会に適応する技術として、左官工事は再評価されています。
左官工事の現場では、機械音や騒音が少なく、ホコリも出にくいのが特徴です。
また、ほとんどの作業が水とコテと手仕事で行われるため、現場近隣に対する環境負荷(騒音・振動・粉じん)が少ないのも利点です。
さらに、左官職人は“現場を汚さず、清潔に保つ”という文化を重んじるため、周囲への配慮が自然と環境対策につながるという側面もあります。
近年、建築では合成樹脂やビニルクロスといった化学系建材が多く使われています。これらは施工が簡単で安価ですが、廃棄時に有害物質を出したり、経年劣化で室内に化学物質を放出する恐れがあります。
それに対して左官材は、
長持ちする
有害物質ゼロ
自然に還る
という三拍子がそろっており、真に環境配慮型の素材と言えるでしょう。
古くから伝わる左官工事は、最新のエコ建築に通じる知恵が詰まった技術です。
**「環境に配慮した建物をつくりたい」**と思ったら、まずは足元から。
その壁、漆喰や土壁にしてみませんか?
次回は、そんな左官工事が未来に向けてどう変化していくのかをご紹介します!
次回もお楽しみに!