
皆さんこんにちは!
有限会社ケイ・オー工業、更新担当の中西です!
土壁や漆喰(しっくい)、モルタル――日本建築の美しい壁面には、「左官(さかん)」という職人の手仕事が生きています。左官工事は、単なる塗装やコンクリート仕上げとは異なり、「素材と道具、手の感覚によって壁を造り上げる技術」です。
左官工事の基本を理解するために必要な歴史、工程、素材、道具、現代的な価値までを深く解説していきます。
左官とは、建築物の内外壁・床・天井に塗り仕上げを行う職種・工事のこと。土・砂・石灰・セメントなどの材料を用い、手作業で塗り重ねる伝統的な工法です。
下地の形成:構造材の上に均一な面を作る
仕上げ:装飾性や防水性、耐久性を高める
調湿・断熱・吸音効果:自然素材を生かした快適な空間づくり
古代エジプトや中国にも類似技術があり、日本では飛鳥・奈良時代から発展
江戸時代には、聚楽壁や漆喰壁など、豪華な左官装飾が発達
大工が“骨格”を作り、左官が“肌”を整える
両者の連携が、日本の木造建築美を支えてきた
下地処理:ラス張り、下塗り(荒壁、モルタル)
中塗り:面を整え、厚みを持たせる
仕上げ塗り:鏝(こて)で美観と機能を与える
鏝(こて)使いの正確さ
素材の水分調整
表面の“呼吸”を意識した仕上げ
材料 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
土(荒壁土・中塗り土) | 呼吸性・断熱性に優れる | 土壁、伝統建築 |
漆喰(消石灰) | 白く美しい、強アルカリ性で抗菌性 | 城壁、蔵、室内壁 |
モルタル(セメント+砂) | 強度が高く安価 | 外壁、下地、現代建築 |
珪藻土・プラスター | 調湿性・施工性に優れる | 内装の意匠壁 |
鏝(こて):塗り・押さえ・仕上げ用など多数
撹拌機・スコップ・バケツ:材料調合用
下地用ブラシ・メッシュ材
鏝の“角”や“しなり”を感じ取る手の感覚
使用年数や使い方で、道具も職人に合わせて育つ
珪藻土・漆喰を活かしたナチュラルで呼吸する空間
モルタル左官によるインダストリアル・モダンな内装
“左官女子”やDIY左官のブーム
3Dプリンターやロボットと連携した「デジタル左官」の可能性も
左官工事は、単なる仕上げ作業ではなく、建物に“呼吸”と“表情”を与える重要な仕事です。歴史ある技術でありながら、現代建築とも親和性が高く、今なお進化を続けています。
一見地味に思えるこの仕事には、「素材を知り、人を思い、手を動かす」という、日本の職人文化の神髄が息づいています。